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【ふむ…ならこういうのはどうだろう?】
そう言うと幻影の魔法を発動させ、我の以前の姿をすぐ横に映し出す。
【堕天する前の姿だ。この姿で椅子に座っているようにして見せればいいだろう。それにあの椅子の機能を使えばそのような煩い輩を多少は黙らせる事が出来るはずだ】
「あの椅子に魔王様を選出する以外のお力が?」
【あの椅子の上に落とされた時に神に椅子の能力についての知識を入れられたからな。何でも魔王と言う役職や我に邪な感情を持つ者を部屋に入れないという事も可能だ】
「そうなのですか!それでは早速その機能をお願いしたいですね」
宰相が大層嬉しそうに言う。おそらくその煩い輩は魔王に対してかなり邪な感情を持っているようだ。
【それで我の纏う幻影はこの姿で大丈夫か?】
「そうですわね…魔王様、失礼ですが羽根は生えているのでしょうか?」
【今はしまってある。だが、布があるから出しても見えないが?】
「少々お待ちください」
そう言うとメイド長は我を包む布を捲り背中だけを出す。
【このような羽根だ】
羽根は背中にあるし、今の体では前に持ってくる位の大きさの羽根ではないからどのようになっているかは分からない。
「魔王様、この幻影の羽根は白色ですが、今魔王様から生えているのは灰色ですので、色を変えた方がよろしいかと」
【すまないが一枚羽根を抜いてくれないか?】
「はい、失礼します」
そうしてメイド長に抜かれて見せられた羽根の色は見事に灰色だった。
我の純白の羽根が…
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