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【そうか…】
宰相から渡されたカタログを目の前に浮かせ、パラパラと捲っていく。
神のせいで身についてしまった魔法が役に立ってしまう事が腹立たしい。
カタログの衣装はだいたい黒系統の色合いのものが多いからと、試しに幻影の衣装を黒くしてみる。
【こんなものではダメだろうか?】
何となく今までずっと着ていただけに変に愛着があるし、今更別の衣装というのもという気持ちもあって尋ねてみる
「これはこれでいいですわね。それに魔王様は堕天使ですもの。むしろこの方がよろしいかもしれませんわ」
メイド長は我の気持ちを察してくれたのか賛成してくれた。
「私もこういうものには疎いですが、魔王様には大変お似合いだと思いますよ」
二人の賛同を得られたし、今はこれでいいという話になり、謁見の調整に入る。
連絡を取ると、これから我に謁見したいと言って来たので、すぐさま魔王の椅子のある部屋――謁見の間――に向かう。
謁見の間に着くと、椅子の上に降ろされる。
我は椅子の機能の内の一つである、魔王に対して邪な感情をを持つ者を排除する機能を作動させる。
そして先ほどの幻影を椅子に座っている姿で出し、しばし待つ。
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