203人が本棚に入れています
本棚に追加
(10)新たな物語
~捺side~
昨日は留奈の16歳の誕生日。
―――――そしてこれからは俺と留奈の結婚記念日となる。
入籍はしていないけど、
留奈は俺の妻となった。
「捺お前と留奈さ…本当に結婚したんだな・・・」
今日は伊集院総理主催のゴルフコンペ。
自分達の順番を待つ合間にトーマとお喋りをする。
スマホで撮影したタキシード姿の俺とウエディングドレス姿の留奈のツーショット写真を見て、
ようやくトーマは信じた。
「彼女の16歳の誕生日に結婚とは…強引だな」
「ふん。
何とでも言えよ」
「留奈さんは何をしてるんだ?」
「これからは俺の部屋に住むから・・・引っ越しの準備で実家だ」
伊集院総理主催のゴルフコンペじゃなきゃ欠席したかった。
「俺の部屋って…お前は俺からあの部屋を借りてるんだからな…家主の俺に一言位言えよ」
「俺は買ってやると言ってるのに…お前が売らないと言うから・・・借りたんだ。
この機会に俺に売れよ」
「ダメだ。
あの部屋は絶対に売らない。
俺が初めて買った部屋だからな」
まぁ、
見晴らしは最高だし、
売らない理由が分からないワケじゃない。
それよりもいつも金魚の糞のようにくっついてる栗原の姿がない。
「栗原は?」
最初のコメントを投稿しよう!