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「――あなたは好意を持った人なんているのかしら」
前の席に座る女子は椅子の背もたれの縁に肘を賭けて、チョコレートポッキーを文字通り、ぽきっ、と食べながら聞いてきた。
放課後の教室の窓際、一番後ろの席で俺は思わず唖然とする。
「…………は?」
やっと出た言葉は、好意とか畏まった言い方しやがって別にそんな言い方じゃなくても好きな奴とか、って教えませんけど、何を聞いてくんだ、を含む。
茜色の夕陽を背中に受けながら、俺も女子が食べているお菓子に手を伸ばした。
「近頃放課後は私のお菓子を目当てに教室に居残ったりして遊ぶ人もいないのかしら可哀想、と思って」
なかなか酷い事を言いのける女子は小説を読んでいる。
それよりも投げかけられた問いの説明にはなっていない。
突然そんな事を聞くとか、その本の内容に感化されたからだろうか。
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