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 容姿の美しいエンリには酒場の女たちもしきりに色目を使うが、エンリは興味がないので受け流すのが常だった。  だが、彼女のヒモたちはそう思ってはくれないのだ。凄んでも動じない彼の様子に相手はますます逆上してしまった。エンリの胸ぐらを掴んでピアノの前から無理やり立たせる。 「この野郎!ふざけやがって…俺は知ってんだ」 「言いがかりをつけないで。僕はアンナなんて全然知らない」
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