第三拾七話 濁り

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部屋から少し離れた所から聞こえてくる巌さんの声… 『今空いてる?』 『一人頼みたいんだが…』 『いや…ばあさんがいいんだが…』 何の話をしているのか想像がつかない。 『俺のところの一人が落ちかけてる…』 落ちかけてる? なんの話? 誰?俺? 一気に不安になるような言葉… 『なら3人そっちにお願いします…』 電話が終わると巌さんが部屋に戻ってきて 『佳代!明後日からあそこの山の温泉に行け!祐と信太郎も連れて!祐は病院行って会社を休め!』 ひとつも状況が把握出来ないでいた。 ばあさん、山、温泉、落ちた… そんな俺を他所に佳代さんは喜んでいた。
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