復讐と、彼女の祈り

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◇  我を喪い狼狽する高官達。そんな中、参議で帯剣を認められている宮廷騎士らが進み出た。 「宮廷騎士、総員抜刀! 陛下をお守りせよ!」  レヴィン伯爵の命令が下される。武官らも無手ではあるが各所で固まり対抗する。 「ハンス殿下、お下がりを」  トリュッケン王子が段上で国王と共に近衛の壁に隠れるように誘導する。 「こうなれば強行手段しかない。者共、褒美は望むまま。執政官らを捕えよ!」  ついに大臣らが本性をむき出しにして扇動する。今までの茶番劇に終止符が打たれる。  ただの反乱では済まされない、これは国王の生命を脅かす謀反なのだ。  衛士が文官らを、重歩兵が宮廷騎士と武官を相手に白兵を繰り広げる。 「ヴェントゥス・プロケッロースス!」  会場に鋭い風が走り抜ける。レヴィン伯爵が魔法を放った、出入り口に向けられたそれで、鉢植えや装飾の類いが集まり重歩兵の増援が止まる。  それでも中に入っている敵の数は極めて多い。装備の差があり戦力としては絶望的だ。 「ロース」  ガルド子爵が構成を解放、するとあたりに多くの湿気が漂いべたつく。
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