復讐と、彼女の祈り

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「わお、激しいわね!」  どうやってかフラと母子は無傷、無事に立っているのは数えるほどしかいない。  大臣らは魔法具や呪符の類で肩代わりし、重傷を負うのは避けたようだ。 「謀反人共、楽に死なせはせん」  ――どうしようとそのつもりであったがな。  その場の多くが驚きを示す。重装歩兵のうち三割程が何と立ち上がったのだ。  体力に優れている兵を選抜していたにしてもやけに数が居る。どんな理由があったかを知った時、皆が再度驚愕した。  鉄兜が転げ落ちた兵が居た。そこにあった顔は肉が腐って落ちてしまっている。 「……不死兵だと!」  ネクロマンシー――死霊術で操る死体。なるほどそれならば何度やられようと起き上がるし、体力に限界も無い。 「うっわー久しぶり、まだ居たんだネクロマンサー」  アンデットをいくら叩こうが、術師を倒さねば根本的な解決にはならない。 「ふ、は、ははははは! こんなこともあろうかと雇っておいた奴が役立つとはな!」  大臣が本人も驚きの結果に上機嫌だ。兵士も高官も殆どが倒れたが、どうやら戦力は優位のまま。
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