復讐と、彼女の祈り

11/16
95人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
 出入口の瓦礫が取り除かれ、重装歩兵が繰り出してきた。 「これは……」  指揮官が見るも無惨な光景に一瞬だが足を止めた。  国家の中枢を担う高官らがほぼ全滅状態。段上に辛うじて幾らかの者が居て、数名の宮廷騎士が生き残っているのみ。 「全て終わったのだ、もう良かろう。下がれ歩兵共」  キッ、とシャルロットが睨む。仮面のせいで表情は読めない。 「はっはっはっはっはっ、こいつは良い。千載一遇の機会が巡ってきた。戦列を組め!」  重装歩兵が横に広がる。二列横隊。 「在らざる力を拒絶し、其は主なるを尊べ。イニミシティアス・マジカエクルスタ!」 「対魔法殻か」  ――しまった、これでは倒せぬぞ!  周辺一帯の人物に、新たに魔法が掛からぬよう殻を被せる。  抵抗するならばそれは効果を発揮しないが、重装歩兵らは受け入れた。  以後は術者が解くか、意識を喪うなどして継続が解かれるまで魔法が無効化されてしまう。 「くっくっくっ、貧乏くじを引かされたと思っていたが、総取りとは嬉しい誤算よ!」  兜の庇を上げた。軍務大臣の顔が現れる。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!