復讐と、彼女の祈り

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 黒百合と銀猫柳の四人、それだけでは防ぎきれない。 「どうする……」  ――あやつだけ残しては何の意味もないぞ!  一歩、また一歩と距離を詰める。ご丁寧に息がありそうな奴を抹殺しながらだ。 「シャルロット、因子を思い出すのよ」  王女にだけ聞こえる位の小さな声。 「エルフの?」  ――しかし魔法は効かぬのだぞ。……精霊?  自身の内にあるヒューリやトールヴァルドは感じられた。  それをどうしたら良いかは解らないし、重装歩兵に対抗出来るかの想像がつかない。 「これはあなたの復讐よ。誘導するわ、意識を合わせて」 「うむ」 「まずは脱ぐのよ」 「えっ?」  すっとんきょうな声を出してしまった。聞き間違いだろうと確認したが、フラは同じ言葉を繰り返す。 「銀以外の金属を精霊は厭がるわ」  本来はもっと細かく例外があるが、今は関係無い。  説明されて初めてシャルロットも、フラが金物を身に付けていないことを思い出した。  唯一は銀のナイフ。魔術の触媒、アセイミーナイフ。それもマンゴーシュだ。
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