95人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
黒百合と銀猫柳の四人、それだけでは防ぎきれない。
「どうする……」
――あやつだけ残しては何の意味もないぞ!
一歩、また一歩と距離を詰める。ご丁寧に息がありそうな奴を抹殺しながらだ。
「シャルロット、因子を思い出すのよ」
王女にだけ聞こえる位の小さな声。
「エルフの?」
――しかし魔法は効かぬのだぞ。……精霊?
自身の内にあるヒューリやトールヴァルドは感じられた。
それをどうしたら良いかは解らないし、重装歩兵に対抗出来るかの想像がつかない。
「これはあなたの復讐よ。誘導するわ、意識を合わせて」
「うむ」
「まずは脱ぐのよ」
「えっ?」
すっとんきょうな声を出してしまった。聞き間違いだろうと確認したが、フラは同じ言葉を繰り返す。
「銀以外の金属を精霊は厭がるわ」
本来はもっと細かく例外があるが、今は関係無い。
説明されて初めてシャルロットも、フラが金物を身に付けていないことを思い出した。
唯一は銀のナイフ。魔術の触媒、アセイミーナイフ。それもマンゴーシュだ。
最初のコメントを投稿しよう!