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◇
転移したわけでは無い。エルフ因子を発現させたシャルロットと共に、風の精霊を使い空を舞った。
しくじると墜落するので、今回はフラウがコントロールしている。
「ま、このあたりでいっか」
東方の小高い丘、そこでインヴィジブルを解き座る。何もない場所、雑草が生えているだけの。
「フラウ、妾の復讐は終わった。もう何も思い残すことは無い」
――与えられるものも、この身しかないが。
相手が男ならばそれでも良かったかも知れないが、いかんせん少女ではどうにも。
「ね、一つ思いついちゃった。ほら座って」
草をぱんぱんと手のひらで叩く。
「うむ」
――こうやって地面に座るなどいつ以来であろうか。ブレスコットに叱られたものだ。
小さなころから共に過ごした。彼は師であり、部下であり、父親のようでもあった。
仇を討ち、今はもう抜け殻のような自分を見たらなんと言うだろうかと下を向いてしまう。
「あたしもね、小さな頃に守役を与えられたの。何をする時も一緒で、一番信頼出来て」
「そうだったのか」
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