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「ネクロマンシーは死者の肉体を再生し、使役する魔法よ。その死体が新鮮な程結果も良好になるわね。およそ一年以内が目安かしら」
「妙に具体的な数字ではないか」
――じいが死んで一年は経っていない。だが妾が術を習得するに数か月ではどうか。
墓地に在る古い死体でも、骨だけでも使役は可能だ。だがシャルロットの目的は使役などではない。
「死体の再活性に必要な要素は五つ。一つはそのもの死体。二つは術者の魔力。三つは術者との関係。四つは術者の熟練度。最後は……術者の記憶よ。対象をより詳しく思い起こせるかが鍵」
内容を吟味する、やはりどうしても難しい部分があった。
「妾が習熟するまでじいの死体が持たぬ……」
――かといって拙速では一度の機会を失ってしまうやも知れん。
「維持だけならあなたにも出来るようにするわ。死体をあたしが永久凍結させるの」
精霊術、それも氷の精霊フラウを使って。大の得意、にこやかに彼女は言った。
「済まぬ、何から何まで手を借りて。妾は未熟だ」
――思いあがっていた、何でも出来ると。だが誤りであった。
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