新入社員に嫌われた。

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 だけど、大石君を見ると、能面のような冷たい顔をして静かに自分の弁当をしまいはじめた。 そ、そんな反応想像してなかった…… 「わかりました。宮部さんにはちゃんと言っておきます。私先に帰ります」  そう早口で言うと、さっさと歩いていってしまった。 僕の弁当はまだ膝の上にあるのに。  え? 怒った? 僕が注意したほうなのに? その反応が、まるで大石君じゃないような反応だったから、面食らってしまった。  その後、大石君は今までのように僕に気軽に話しかけたりはしなくなった。 こんな簡単に嫌われるとは思わなかったが、まぁ、今までが異常だったので、元に戻ったと思えば、なんともない。  なんともない、はずだった。  お弁当箱は洗って返したが、とてつもなくそっけない態度で受け取られ、また月曜日がきたときには、当然のようにお昼は別々だった。  結婚したいとまで言ってくれたのに?!  と、突き放したのは自分のくせに、年甲斐もなく憤慨してしまった。 いかんいかん。もう忘れよう。  忘れようと思ったのに、むしろもっと意識してしまっていた。 あの時の能面のような大石君の顔が忘れられない。 普段あんなににこにこしているのに……。  ずっとそんな想いを抱えたまま過ごしていたら、ビアガーデン飲み会の日がやってきた。  こんな気分で飲み会に行ってもなぁ、と思った僕は、居酒屋に向かう途中で元妻にメールを打った。 『うちに来てよ。終電前には帰る』
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