予感

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「よく聴いてくれ皆の者!」 集まった国民は一斉に視線を、国王であるリーレンの方に向けた。 「我々リーランド王国は、フェリー山脈を勝ち取るために、ベラーズ王国と戦を始める。必ずや、フェリー山脈を勝ち取ることをここに誓う!」 わあっと、国民が喜びに湧いた。 「万歳!!リーレン王万歳!!」 バルコニーの奥の部屋にいたシャルロットは、目に涙をたくさん浮かべていた。 「アディ。リーランド王国は、必ず勝つのよね?」 不安でたまらなくなり、父や母たちが信じていることを、アディに尋ねた。 「勿論ですとも、王女様。我が国の兵士たちは必ず勝利を勝ち取ります。」 シャルロットの顔に、弱々しい笑顔が浮かんだ。 「やっぱり、王女様は、おれが守らなきゃいけない。」 そう心に強く誓った、アディであった。 アディ以外の兵士たちは、戦地へと勇んで出陣していった。国民たちは、勝利を信じて、戦争前と変わらない日常生活を送っていた。 「メアリー、私、どうしたらいいの?」 ある日の昼下がり、シャルロットは、猫のメアリーに問いかける。メアリーは、シャルロットの膝の上で、ゴロゴロとのどを鳴らしていた。 「猫はいいわね。何にも苦労がないのですから。」 その時だった。ノックの音がしてドアを開けると、立っていたのは、妹のジュリアーヌだった。 ジュリアーヌは今12歳。父と第3王妃との間に生まれたので、シャルロットとの血は繋がってない。だが、シャルロットは、実の妹のように彼女をかわいがっていた。
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