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「この国は、どうなるのでしょう…。」
ここは、リーランド王国の城の1番高い部屋。
眼下に広がる街を、シャルロットは悲しげな瞳で見つめていた。
街にはたくさんの屋台が軒を連ね、男や女、子ども、老人と、あらゆる世代の国民でにぎわっていた。
「取れたてのフルーツはいかが?」
「1つちょうだい!」
彼らの会話にも、活気が溢れている。それとは反対に、シャルロットの瞳には涙が浮かび、今にこぼれそうになっていた。
彼女の悲しみの素となっているのは、父が治めるリーランド王国の未来だ。顔も知らない先祖たちが築き上げてきたこの国の歴史や文化は、近い将来崩れてしまうかもしれない。
リーランド王国は、隣国のベラーズ王国と長年対立関係にある。両国の境にあるフェリーザ山脈を巡って、戦争が始まろうとしているのだ。
幼い時分から愛してきた祖国がなくなるのは最も辛いことだ。しかし、シャルロットの悩みは、これだけではない。
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