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「何で私があのようなお方と…。」
国のために、という王家特有の理由で、いとこのチャーリー王子との政略結婚を控えている。彼とは昔から、事あるごとに顔を合わせていたが、何とも思ってはいなかった。かと言って、嫌いではないのだが…。
「お父様とお母様は、自分の利益しか考えていないのね。」
チャーリーとの政略結婚が決まってから、これまで両親に向けてきた尊敬の眼差しが、無意味に思えてきた。
自分と国のために、子どもを道具同然に使う。それに気付いた時、無神経な両親と、そんな彼らを慕い続けた自分に怒りがこみ上げてきた。
その日から、食事や用を足す時以外、部屋から出ていない。退屈はしなかった。猫のメアリーと遊んだり。街の様子を眺めたりして、時を過ごす。
コンコン…
何週間かぶりに聞く、ノックの音。誰だろう。
「どうぞ。」
失礼します、という挨拶と共に、1人の男が入ってきた。年齢は20代後半、口元は固く結ばれ、眼には闘志が宿っていた。
「この度、シャルロット王女様の護衛を担当することになりました、アディ・ゴーダと申します。」
「まあ、私の護衛を?」
「はい、王様から任命されました。」
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