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父が、娘の護衛を用意するのは当然であろう。シャルロットの命を狙う者は全くいない保障はないのである。それには、まだ嫁入り前の娘を傷物にしたくないという親心も含まれているのだろう。
「王女様を、この命に代えてでもお守りしていく所存でございます。よろしくお願いいたします。」
シャルロットは、心臓がとっくん、と動く感覚を覚えた。
「こちらこそよろしく、アディ。」
アディが部屋から去った後も、胸に何かがつかえていた。
なぜこんなにどぎまぎしているのか、自分でもよくわからなかった。
晩餐の席で、いつもと違う娘の様子を、父のリーレン王と、母のアリサ王妃は気にかけた。
「シャルロット、具合でも悪いのかね。」
シャルロットは慌てて首を振った。
父と母に今の精神状態を悟られてはまずい。
半分食事を残すと、席を外した。
がっしりとした体格、自分よりははるかに高い背丈、固く結ばれた口元…
それらが頭の中に登場するたびに、周りのものが眼中から消え去るぐらい、胸が締め付けられる。
「どうなってしまったのかしら…。」
シャルロットは、自問自答していた。
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