苦悩

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快晴の街を、馬車が走り抜ける。馬車は、リーランド王国の隣にある、ネザー王国を目指していた。 シャルロットは、帽子を目深にかぶり、うつむいて座っていた。右隣にはリーレン王、左隣にはアディが座っている。 シャルロットの表情は、歪んでいた。 「早く帰って、メアリーと遊んでいたいのに…」 ちらりと、うらめしい目で、隣の父を見る。 久しぶりに姉と再会できるので、わくわくしているようだ。 父の姉、すなわちシャルロットの伯母のナタリー王妃は、17歳の時にネザー王国に嫁いだ。そこで5人の子どもを生み、末子でたった1人の男子であるチャーリーをかわいがっている。彼こそが、シャルロットを苦しめている存在である。 シャルロットが考え事をしている間に、馬車は停まった。 「姉上、お久し振りでございます。」 「リーレン、変わりないようでよかったわ。」 姉と弟は、何年かぶりの再会を喜んだ。 「シャルロット、とても美しくなったわね。」 「はあ…。」 笑みを浮かべるだけで顔がひきつった。 満足そうに笑うナタリー王妃の横に立っているのは、息子でシャルロットの婚約者でもある、チャーリー王子だ。
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