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チャーリーは、今18歳。幼い頃から優秀で、ナタリー王妃は事あるごとに、
「この子がいれば、王国は安泰だわ。」
と、周囲にふれていた。
「お久し振りです、シャルロット王女。今日はいい天気ですね。」
チャーリーはとても愛想のいい王子だ。それはシャルロットもわかってはいるのだが、やっぱり結婚する気にはなれない。たった30分の面会時間が長く感じられる。アディが側にいてくれて、心強かった。
「ありがとう、アディ。」口には出さず、お礼を呟いた。本人に面と向かって言うのは、照れくさかった。
「いやあ、久しぶりに姉上とチャーリーに会えてよかった。チャーリーも、シャルロットのことを気に入っているようだし、結婚式が待ち遠しいのう。」
子どものように興奮するリーレンの横で、シャルロットは沈んだ顔でうつむいていた。悲しみのオーラが、ベールのように彼女を包んでいることを、リーレンは知らない。アディは、シャルロットの心の痛みを、ひしひしと感じていた。
「やはりシャルロット王女は、結婚したくないのだろうか…」
シャルロットには美しくも、儚い風情が漂っている。いくら王女とはいえ、まだ15歳。国のために好きでもない王子と結婚させられることに、アディは憤りを感じ始めていた。
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