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「ブラウニー大好き」
それが彼女の口癖だった。
俺は目を覚ました瞬間から自らの意志で四肢や口を動かすことが出来なかった。体の大きさは全長三〇センチ程で少女の腕にすっぽりとおさまる程度。体毛は人工で出来ており茶色い木地で出来ている。瞳はプラスチック製で出来ており成形され丸みをおびている。人は俺の姿をみてクマの人形と
いった。
クマの人形という総称と呼ばれている俺に名をつけてくれた人間がいた。人間はマキと呼ばれて
おり愛嬌のある笑みを浮かべていて俺をよく抱きしめてくれる。
「ブラウニー大好き。私ブラウニーとお話したいな」
彼女は口癖のように毎日抱きしめながら大好きといってくれる。もちろん俺もマキのことが
大好きで叶うものならば言葉というものを得たかった。そして俺がどれだけマキのことを思って
いるのか、この口で伝えたい。
「マキちゃん、お人形さんはね。百年経つとお話ができるようになるのよ。だからそれまで大事に
してあげてね」
彼女の祖母が民間信仰の話をしていた。本当にマキを話せるようになるのなら百年、二百年、
いや千年だろうと辛抱強く待てる。
「おばあちゃん、百年ってどれぐらい先」「そうねぇ、
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