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「ねぇ、待って?いいの?店長…」
三階まで駆け上がり通路も走って、社食の前に着くとそこでようやく彼が足を止めた。
「大丈夫?」
「ハァ…ハァ…っ、…うん」
上がった呼吸を整えようと、胸を押さえた私を心配そうに覗き込む。
「…あれ?」
顔を上げて向井くんを見ると、窓から差し込む夕陽で丁度逆光になっていて、彼の顔がよく見えない。
何だろう、この感覚…
前にもあったような、なかったような?
夢?いつも私が見る…
ううん違う、前にもあった、この感じ。
「思い出してくれた?」
「…え?」
「“新人さん”?」
「…は?…え?!」
“新人さん”
その言葉で、パッと記憶が蘇る。
そうだ、思い出した。
あれは確か、私がまだこのカフェに入ったばかりの頃───…
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