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「ずっと待ってたんだよ?思い出してくれるの…
それでね?思い出してくれたら俺、真子さんに絶対告白しようと思ってたんだ」
「…な、何を?」
「え?“好きです”って。…告白って言ってるんだもん、それ以外ないでしょ?」
「は…?あ、そう…」
何だろう、こんな感じ?告白ってこんな感じ?
にわかには信じ難い衝撃的な事実に加え、あまりにもあっさりとした彼の告白に、身体の力が一気に抜けた。
そっか、“好きです”か…そっか…
…いや、待って?でもその前に…
「でも向井くん、店長と付き合ってるって…」
「は?そんなワケないじゃん!相談はされてましたよ?彼氏が浮気してるかも、とか何とかって…」
「え?そ、そうなの?」
「そうですよ。泣きつかれてちょっと困った。俺そういうの苦手で…」
泣きつかれた?抱き合ってた、じゃなくてね?
「そもそも俺、ああいう完璧なタイプの女性、苦手なんですよ…美人で素敵だけど、ちょっとな…」
あぁ、そうですか…
完璧で美人で素敵、ですね、確かに…
「完璧な人に怒られると本気で凹みません?
だから俺は、ちょっとそそっかしいくらいの人の方がいいって言うか…」
そそっかしいね、はいはい…
って、えっ!?
「だから俺、真子さん大好き!」
「ちょっと待って?色々待って?」
「…ぷっ!ははっ!」
聞き捨てならないセリフに文句を言ってやろうと、ムキになった私を見て突然彼が吹き出した。
「何…笑ってるの?」
「だってさぁ、俺ずーっと待ってたんだよ?本当に気付かなかったの?そそっかしい上に鈍感…」
「…っ…向…井くん…?」
不意に抱き締められて、それ以上何も言えなくなる。
色々言いたい事、あったのに。
「嬉しい、思い出してくれて」
「…うん」
「好き、真子さん」
「うん…」
「大好き、全部好き」
「フフ…分かったから…」
彼から溢れ出す沢山の“好き”に、ジワジワと嬉しさが込み上げて、彼の腰に腕を回して胸元に顔を埋めた。
やっと会えた…
『ここにいるから…待ってるから…』
夢の中で何度もそう言っていた。
こんなに近くで、本当に待っていてくれたんだ…
私の大切な王子様。
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