ひっぱる

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ひっぱる

その日、俺は夜中に目が覚めた。 時計を見ると、午前2時を少し回ったくらいだった。 (寝てから3時間くらいか…) と思った瞬間、 《バシッバシッバシッ!》 俺の周りを取り囲むように音が鳴った。 (おやおや、ラップ音だよ) それ自体は珍しいことではなかったが、次の瞬間全身に鳥肌が立ち、頭の上から 《ドーーーーーーン!》 って感じで金縛りにあった。 (アレ?もしかしてヤバい感じ?) って思っていたら 『ヒュ~ヒュ~』 って、変な呼吸音が右耳から聞こえて来た。 (こりゃヤバい!) と思って、絶対に目は開けなかったのだが、 《ズズッ!》 って、足をひっぱられた。 必然的に布団に潜り込む形になったが、怖くて目は開けられない。 その後、『ヒュ~ヒュ~』と何度か俺の周りをグルグル回って、それはいなくなったらしい。 俺はそのまま眠ってしまった。 次の朝起きて見ると、足首にハッキリと手形が残っていた。 ただ不思議なのは、左足に左手、右足に右手の跡があることだ。 どんな体勢でひっぱったんだ、アイツ?
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