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その瞬間、まるで何かに弾かれたかのように、トンネル内がウォーンと唸りはじめた。
響き渡る叫び声。
断末魔のような悲鳴。
嘲るような笑い声。
様々な声が、トンネル内に響いた。
これはさすがにヤバいと思ったのか、友人はキーを回してエンジンをかけた。
いつの間にか、ラジオの音は止まっていた。
後ろから追い掛けて来る声を振り切るように、車を発進させた。
トンネル出口まで10m!
9…8…7…6…5…4…3…2…1…
《バァァァァァァァン!!》
最後の抵抗だったのだろうか、トンネルの出口でそいつはフロントガラスに手形を残した。
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