第一章 坂の途中カフェの超絶美形王子

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坂に面した窓際の席へ座ろう。 外の光でイケメンの顔がよく見えないといけないから。 一歩踏み出すと、 床がツルツルでグイッと右足かかとが前へ滑った。 いきなり股裂きの刑なんて聞いてないわよ。 すまむらの店頭に、 てんこ盛りでワゴンにあった299円のスリッポン。 坂ばっかりで石畳のローザンヌには、 ぴったりだと思ったんだけど。 滑りやすい床のことまでは考えが及ばなかった。 でもめげない。 こげ茶色の革張りで、 昔の電車のシートみたいな直角背もたれに、 70キロのあたしをなんとか滑り込ませる。 テーブルとソファーが固定されてて、 腹がつかえて苦しい。 「ボンジュール、 マドモアゼル」 なに、 この涼やかなイケボ、 もうこれだけでry あたしは、 はじかれるようにイケボ主を見た。 うおおおお、 大天使イケボニエルイケメニエル降臨よっ!
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