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あれから数ヶ月の時間が経った。景色は緑から紅に染まり、季節の移り変わりを感じさせる。しかし事務所は忙しくなった。それもそうだ。大弁護士の事件を解決したのだから。その伝手で仕事はたくさん来る。……もっとも、回しているのは聖羅だという噂が立っていなくもない。この人員で解決できることは少なく、殆どの仕事は他に回させてもらっている。そんな毎日を送っていると、私宛に一本の電話が入った。
「もしもし、理央? 聖羅だけど。実はね、大事な話があるんだ。この後時間ある?」
……仕事中に珍しい。公私混合させない人だと思っていたが、違うのか?
「ん? あぁ、今日は何もないしな。とりあえず用件だけ聞いていいか?」
こっちも仕事中だ。あまり長電話も出来ない。
「……実は、こっちに真央ちゃんの両親だって言う人が現れたの。理央の仕事が終わった後、会えないかな」
……気になるな。何やら面倒事のような気がする。しかしこればかりは行かねばならない。
「なぁ、その話、仕事って訳にはいかないか?」
「うーん、いいと思うけど、要交渉ってやつかしらね」
まぁ先方の意見もあるだろうしな。その辺は話し合って決めるしかないか。
「わかった。とりあえず仕事終わったら連絡する」
そう言って電話を切る。……なぜ今更、どういう目的で。
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