雨と熱

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「いいよ、それで」 へらへら笑ってるヒロにはぁっと小さくため息。 雨に濡れないようにしてるふうを装って、ヒロに身体をすり寄せる。 雨の匂いに混じって香るコロンの香りを、心を落ち着けるように吸い込んだ。 「折りたたみだと小さいもんな」 「そうだね」 ……僕の気持ちなんか知らない癖に、笑っているヒロにやっぱり腹が立つ。 僕がどんだけ努力して、普通の顔して同居なんてしているのか、ヒロは知らない。 思えば君は、女の子の気持ちには敏感な癖に、僕の気持ちだけには鈍感で。 まあ、だから、気付かれることもなくいままで一緒にやってこれたのもあるけれど。   まだ開いてた居酒屋で晩飯をすませ、タクシーに乗る。 ヒロは酔いと疲れからか、シートにもたれ掛かると寝息を立て始めてしまった。 ……そんなヒロに。 ゆっくりとシートの上を、手を滑らし、小指を重ねる。
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