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「でも、」
千代ちゃんは責任を感じてか、しつこくそう呟く。
「千代ちゃんが気にすることじゃない! そんな顔見たくないしね!」
説得するよう、大声で俺は押し切った。
そうでもしないと延々と続きそうだったから。そうい煩わしさを察してくれたのか、もう「でも」は言わなくなった。
代わりに千代ちゃんは真剣な表情を作って言う。
「メグル君。これは、こんな物じゃないよ」
机の上に乗っている漫画を手にして言った。彼女自身がこの漫画を想ってくれている事を口にしてくれただけで俺は気が晴れた。
さっきの胸糞悪い出来事などチャラになってしまうほど。
「だから、また明日。漫画持ってきてね」
そのお願いを聞いて俺は大きく頷いた。
彼女との関係が明日も約束されたということだ。泣いて喜ぶ俺。顔には出さないけれど。
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