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「まぁ、色々あってさ」
言葉を濁す俺。怪訝そうな顔はみせるけど余計な詮索はしない千代ちゃんだった。
「下駄箱で倒れたんだけど、そっか。あんまり話題にはなってないのか」
「メグル君、休みの日に学校いたんだ」
「いや、昨日は休みじゃないでしょ。てゆうかいたんだから分かるでしょ?」
「いやいや、私は部活とかやってるわけじゃないしとくに学校に用もなったからずっと家にいたよ。ねぇメグル君」
会話があまりにちぐはぐ過ぎて遂に千代ちゃんに問い詰められた。
「さっきからメグル君と話が噛み合わないの。分かってるよね? 困らせてるつもりじゃないのは分かるんだけど、メグル君は一体いつの話をしてるのかな?」
「いつって、昨日だよ」
「昨日?」
「そう、昨日。火曜日」
俺がそう言うと千代ちゃんは目を丸くした。予想外の返答が帰ってきたみたいな反応だ。
徐々に千代ちゃんの表情がデフォルトに戻っていく。そして真剣な表情を見せて千代ちゃんがゆっくりと口を開いた。まるで大層な事でも言うように大仰に。
俺は何故だか早鐘を打ったように心臓が速く脈打ち息が苦しい状況に陥る。前触れを察知したみたいに体に警告を鳴らしているようだった。
ゴクリと唾を飲み込んで耳を傾けた。
「日曜日」
日曜日だよ。
千代ちゃんは 短く、そう答えた。
俺は最初、何を言ってるのか分からなかった。いや、言ってる言葉は分かるのだ。ただ、それが何を意味するのか理解できなかった。
段々と頭がクリアになって千代ちゃんの言葉を反芻してやっと理解が追いついた、と同時に驚愕した。
だって今日は「水曜日だろ?」
けれど千代ちゃんは俺が水曜日と言う理屈を全く持って理解できないという風な表情をするのだ。
何でだ、火曜日の次は水曜日だろ?
そんな当たり前が俺の頭をグルグルと回るが回ってるうちにそういう単純なことじゃないのだと気付き始める。
「なぁ、千代ちゃん。変なこと聞くけどさジャンプー立ち読みしたことは?」
「と、突然だね。無いよ?」
俺の質問の意図が分からず困惑する彼女だがちゃんと答えてくれた。ノーと。
「はははぁ、そっか。お兄ちゃんのを見せてもらってるんだっけ?」
「そうだけど、何でそんな事知ってるの? 言ったっけ?」
千代ちゃんは本気で言ってる。
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