0人が本棚に入れています
本棚に追加
「イエーイ♪ やったー、晴れた♪」
となりで染めた髪をリズミカルに揺らしながら、幼なじみの梨緒が口ずさむ。水たまりの水が跳ねるのもかまわず、ピョンピョンとジャンプする。
昨晩から降りつづいていた雨がやんで、ずいぶんご機嫌らしい。
挙げ句には、持っていたビニール傘を放り投げ、私にハイタッチを求めてくる始末だ。
パチンッ、と小気味よい音が田舎道に響く。
「ええーっと、今日って、なんかあったっけ?」
ぎこちなく尋ねる私に、梨緒は太陽のような笑顔を向けてくる。
「プール開きがあるじゃん」
「うそ!」
「ホントだって。早く泳ぎたーい。プール♪ プール♪」
大はしゃぎする梨緒に気恥ずかしさを覚えていると、前方を歩いていた生徒が振り返り、大声で話しかけてきた。
「プール開きは明日だよー」
「……へ? マジ?」
「梨緒のばか」
最初のコメントを投稿しよう!