プールに◯をつけ忘れた日

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「イエーイ♪ やったー、晴れた♪」  となりで染めた髪をリズミカルに揺らしながら、幼なじみの梨緒が口ずさむ。水たまりの水が跳ねるのもかまわず、ピョンピョンとジャンプする。  昨晩から降りつづいていた雨がやんで、ずいぶんご機嫌らしい。  挙げ句には、持っていたビニール傘を放り投げ、私にハイタッチを求めてくる始末だ。  パチンッ、と小気味よい音が田舎道に響く。 「ええーっと、今日って、なんかあったっけ?」  ぎこちなく尋ねる私に、梨緒は太陽のような笑顔を向けてくる。 「プール開きがあるじゃん」 「うそ!」 「ホントだって。早く泳ぎたーい。プール♪ プール♪」  大はしゃぎする梨緒に気恥ずかしさを覚えていると、前方を歩いていた生徒が振り返り、大声で話しかけてきた。 「プール開きは明日だよー」 「……へ? マジ?」 「梨緒のばか」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加