休憩

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「頼んだとおり、早く帰してくれたか。下のステージに落ちたけど、良かった」 貴重品が入った小さなバックを持って、部屋を出る。ドアの外に参加者がいた。訪ねてきたみたいだ。 下のステージに落ちる選択をすると、自分の望みが叶うようだ。そんな決まりがあったなんて。第四ステージが始まらない理由も分かった。 「君の元パートナーのゼウス君の偽者が現れた。本物を助けるために、協力してほしい」 「元パートナー?ゼウスって、誰?」 「ほら、君の片想いの相手の」 「ゲームの参加者の中には、私の好きな人は、入ってないよ」 「えっ!だって…」 「入ってない。間違いなく。…忘れる訳がないよ。親友と結婚したんだもん」 「とにかく、ロビーに来て。参加者で話し合うから。…ホクトに聞かなきゃ」熱意は伝わってきた。助けたいと望む彼の心は、本物と思われる。彼が出したキャラクター名の人は知らない。参加者の一人だと思うが。自分のパートナーというのは、解せない。不審に感じて聞き返す。 頼みに来た彼は、変なことを言い出す。はっきり、否定した。不思議そうに、彼が聞き返す。遮って、理由を告げた。腕時計に視線を走らせて、彼は促す。つぶやいて、先に行ってしまった。分かったのは、ホクトが嘘をついた。親友と対立している女が、知恵を貸している。 気が進まないが。話し合いの場に、参加せざるを得ないようだ。ハデスがいるカプセルホテルのような部屋を探しに、下の階に行く必要がある。無視したら、相当、気まずいし。白目で見られる。無用な嫉妬は、避けたかった。
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