休憩

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上着の裾の方で、ゴソゴソ動く。シマリスが隠れてるのだ。着ているジャージには、ちょうど良い大きさのポケットがない。裾を丸めて筒状にした所に入ってもらっている。さりげなく、手を添えている。顔を覗かせた。 「話し合いに参加しなくていいのか」 「しまった」 忘れてた。シマリスに指摘されるまで。ハデスに事情を話す。彼の用を後回しにしてもらう。エレベーターを使い、階下に降りた。 「ありのままに話せばいい。ゼウスはあちらの世界の住民になった、と。確実な保証もないのに、ステージ落ちしてたまるか」ロビーに人が集まっていた。人数からすると、全員ではない。助けたい話を信用した人達だけと思われた。 皆の向こう側で、ホクトにキツイ口調で意見している人がいた。本物を救う方法として、ステージ落ちを主催者が示したようだ。参加者全員の。ここにいる人達は、同意したのだろう。彼女の前にいる人は、拒否した。 言い放つと、ホクトの前を離れる。皆の間を通って、こちらに来た。地下ステージ落ちと決まった後、売店で見かけた一人だ。意味深な言い方をしていた。 「あんたも、バカが付くほどお人よしじゃないでしょう。ゲームに専念しなさいよ」 「嘘だと気付いていたのですか」 「裏付け調査は、かかせないわ」 脇を通り抜けながら、彼女は忠告してくる。尋ねると、振り返って答えてくれた。親友と同じ考え方の人もいるもんだ。 一言、断って、部屋に戻るつもりでいた。皆の方を向けなかった。冷たい空気が流れて来てる気がする。側に、国民的アイドルグループのメンバーがいるせいだ。他の人は嫉妬する。和らげる方法を考えなくては。
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