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メールの内容は思った通りだった。
〝冬音は元気そうだったな?
久しぶりにお前を見たら、随分痩せてたな?
あれから連絡しずらくて連絡取らないままだったからスゲー気まずくて、悪かったと思ってる。
お前の家庭壊した俺が、晴美(はるみ)と焼き鳥行って楽しむなんて間違いだったかも知れない。
あれから2年過ぎて晴美には俺との子供がいるが、晴美はオロスと言い続けてて、子供は、冬音としか作らないのだと駄々を捏ねてる・・・
そして、それを目の当たりにして解ったよ・・・お前の気持ちが〟
それ以上読む気には成らなくて、俺は返事も返さずにメールをゴミ箱へ送った。
ICEに会う前だったら、その言葉に深く心が傷んでいたはずだ。
でも今は、ICEに相談する事が出来る。
依存と言われても良かった。
独りでいる事があまりに苦しかったから。
何故かすんなり俺の中に棲みついたICE。
もう、会いたい。
裏切られるかも知れないと言う恐怖は無い訳では無いけど、すんなり人をここまで受け入れたことが無かったから。
もし、騙していたとしても、良いって思ってしまったんだ。
そんな事があり、夜は結構な頻度でICEと狩りに出てはレアを競ったり、pkの真似事をして遊んだりした。
実際経験値が減るのは、嫌なのでちょっとした裏技を使って殴り合う。
急襲の練習にもなるし、何よりお互いが楽しかった。
だから、忘れていたんだ。
あのメールの存在を。
狩りに行ってる最中、部屋のチャイムが鳴った。
宅急便とかだと思い、ICEに守りを任せてインターホンを見て驚いた。
「・・・晴美」
「あ、冬音居たのね?少しお話しさせて?」
その言葉に心が掴まれる気分で首を左右に降った。
「帰りなさい、俺は君と2人では二度と会わない」
もう、種馬なんてまっぴらゴメンだったから、そう告げれば彼女はごねること無くその場を去っていった。
面白いくらいに震える指先、泣きたくなる感情。
はぁ、と一つ息を整えてからゲームにログインしたらICEが待っていてくれた。
ICEの時間が終わるとキャラを安全地帯で放置し仕事のメモを取る大体は、そんな感じで構想を練ながらゲームするのが癖になってしまっていた。
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