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バツの悪そうな顔で氷山がポリッと頬を掻いた。
「あーあのさ、偶然なんだが、凪川と接触した・・・」
そう言った氷山に二人の視線が強くぶつかってきた。
「あ、でも、勧誘して無いし、その前に断わられてるからする予定も無い・・・」
そう告げれば2人は溜息を吐き出して、肩の力を抜きリストを見だした。
「聖は、気に入ったプログラマーじゃないと推さないからな・・・あれだけ惚れ込んでるんだから凪川が良かったんだが。」
「悪ぃな・・・ただの友達になってしまったから、無理な勧誘も出来ねぇわ」
その言葉に皆から一斉に溜息を貰い、氷山が苦笑いを零した。
「悪かったって・・・会うまで知らなかったし、まさかアイツがいつも遊んでた奴と同一人物だなんて思わねぇだろ」
まぁ確かにと、谷山が氷山の肩を叩いた。
「んじゃ、リストの洗い直しと求人募集で行くか」
「・・・ネット関係は、求人募集だと何かと不安なんだがな」
「だよな・・・」
溜息を落して、会議を終わらせた。
自分の席に戻るために、氷山が社内を歩けば、女子社員がチラチラとこちらを見るのはいつもの事なので、気になどならない。
だが、今回はその視線が後ろにも注がれて、誰が付いて来ているかは直ぐに分かった。
「なんだよ、勇・・・」
そう呼べば、歩幅を合せて隣に並んだ。
「聖さ、凪川が断ったなら、その友達に信用出来るヤツ紹介して貰えねぇの?」
最もな意見かも知れないのは理解出来たのだが、氷山は首を横に振った。
「なんか、アイツ色々あるみたいで知り合い友人関係なんかは特に掻き回したくねぇんだよ。」
「はー全く・・・営業成績良いのは、こういう所なんだろな?」
笑う谷山に、ぶすりとした顔を向けて吐き捨てる様に「なんだよ・・・」と告げた。
「はいはい、聖拗ねてないで!裏表が少ないって褒めただけだよ」
「・・・大の男に向かって拗ねてるとか吐くな気色悪い」
「あはは!それでこそ聖だ!」
ケラケラと笑いながら谷山が自分の席のある部署へと向かったので氷山も、逆側にある自分の席のある部署へと足を進めた。
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