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髪はスッキリ纏まり、左下がりの前髪で俺のコンプレックスが、上手く隠せてる気がする。
どうしても、顔は自分の中で認められなくて、いつも隠していた。
そして結婚して更に酷くなったそれを治す事など無いまま今に至ってる。
「じゃ、帰るね」
「うん、サンキューな」
妹が帰ると、俺は鏡と睨めっこだ。
この位なら、ICEとは不釣り合いにはならないだろう。
右左と角度を変えて自分を見るとやっと満足できた。
「ICE、驚くかな?」
明日の準備を終えて、俺はパソコンの前に再び座り込んだ。
妹に来てもらったり時間を消費したお陰で、仕事が圧迫されてしまい結局朝まで仕事を続けて寝たのは5時を越えていた。
△▼△▼△
夕方6時、そわそわとしながらも遠足前のガキのように何度も目覚めた。
2度目の再会。
彼と、また会えるってだけで心がふわふわしてしまう。
会いたいとそこまで渇望した友達はいなかったからか、本当に楽しみなのだ。
「あ、メッセ来てる・・・」
簡易メッセを開けば、驚く内容が書かれていた。
〝悪ぃな、得意先から連絡入って行かなくちゃならなくなった。
日を改めてもいいか?〟
落胆する心と、深い溜息。
どれだけ楽しみにしていたかなんて彼は知らないのだから、押し付ける訳にはいかない。
心に余裕のないまま〝解った〟とだけ返せば、直ぐに返事が来た。
〝楽しみにしてたんだが、本当に悪いな・・・
出来れば明日でも時間作るが・・・〟
〝気にしなくていいよ〟
せっかくの休みまで、俺が貰う訳には行かないと、そう返せばとんでもない提案が舞い降りた。
〝俺の得意先さ、カノンの家の近くなんだけど・・・渡したいモンあるし終わったら遊びに行っていいか?〟
バカみたいに驚いて携帯を投げてしまった・・・電池パックが外れ差し込みながら苦笑いを零した。
馬鹿か俺は・・・。
グルリと自宅を見回し、これから掃除すれば何とか間に合うと算段を付けて立ち上がった携帯で返事をする。
〝何も無いから、食物とか頼んでいい?〟
〝んじゃ行けるようになったら電話する〟
会える事が確定して、さっきの凹み具合に苦笑いが零れる。
まだ、会うのだって2度目・・・自宅を教えてイイのだろうか?
返事をしてから、思い直すなんて最悪だなと項垂れた。
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