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「ん……む、」
気がつけば俺は、大きな温もりの中にいた。
流石にこの温もりの正体は、もう考えなくてもわかる。
「銀司さ…苦し……、」
グッと回された腕の中にスッポリ収まる形で、俺は銀司さんの腕の中にいた。
「……うん」
いや、うんじゃなくて!!
寝ぼけてんのも可愛いけど、うんじゃなくて!!
いや、可愛いとか何言ってんの俺!?
もう否定すんの面倒だよ可愛いよ畜生!!
「起きてください」
「……うん」
絶対起きる気ねえ!!!
絶っっ対起きる気ねえ!!!!
「銀司さん、お腹空きません?俺、腹減りました」
「…若葉が、喰いたい」
「俺はやめて!?」
「……フッ、」
待って、いま完全に笑ったよね?
絶対もう起きてるよね!?
「銀司さん!!」
ぐるっと振り返ると、ぱっちりと目を開けた銀司さんと、目が合った。
「ちょ…、普通に起きてるじゃん!」
「おう。会話してただろ」
あれを普通に会話って言える銀司さんが凄いよ……。
ため息をつく俺を気にすることもなく、銀司さんが枕元にあったMainを手に取る。
「あー、19時か。結構寝たな。学食20時まで空いてるけど、飯食いに行く?」
「……一緒に?」
「嫌か?」
嫌か嫌じゃないかって聞かれたら全然嫌じゃないけど、正直他の人の目が気になる。
だって、西と東の次期当主が一緒にご飯食べてんだよ?
目立ちすぎにも程があるだろ
「西と東のこと、あんま気にすんなよ。この学園、西と東の争いは一応禁止になってるしな」
「……銀司さんが、大丈夫なら」
「俺から誘ったんだ。大丈夫に決まってるだろ」
銀司さんが、笑いながらベッドから降りた。
ねえ、まって。
俺凄いこと忘れてた。
凄いことしたのを凄い勢いで凄い忘れてた。
サッと下を確認すると、しっかりとパンツは履いていた。
パンツはな。
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