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折角だから一緒に食べよう、という事になり、俺らは空いていた席に座った。
俺の横に銀司さんが座り、前に呼詠。そして銀司さんの向かい側に、お兄さん泰智先輩が座っている。
「なんか、視線が凄いね」
口を開いたのは、泰智先輩だった。
そりゃあそうだろうよ。だって、西の次期当主と東の次期当主が隣に座ってるんだよ?
そしてきっと。きっとね、この不和兄弟って学園内でも有名な方だと思うんだよね。
呼詠は学級委員長だし、正直容姿も整ってるし、お兄さんも凄くイケメンだし。
ちらっと泰智先輩を盗み見ると、髪型は呼詠と同じポニーテールで、少しグラデーション部分の青みが深く、目も同じく深い青をしている。
髪も、泰智先輩の方が少し長いようだ。
「まあ、俺と若葉が同室だって事、知ってる奴少ないしな。そういう奴からしたら、珍しい光景だろうな」
銀司さんのその言葉に、不和兄弟が驚いた顔をする。
「えっ、えっ、若葉ちん、不知火先輩と同室なの!?いーなー!!いーなー!!!!」
「え、言ってなかったっけ?」
「聞いてないよー!!!ずるいー!!」
呼詠は悔しそうに、手足をパタパタさせて暴れてる。
そうか、呼詠は今日、途中でいなくなったもんな。稜と阿久津しか、まだ知らなかったか……
2人の青ざめた顔を思い出してなんとも言えない気分になるが、何故呼詠はこんなに羨ましそうにしてるんだろう。
反応に差がありすぎて、思わず困惑してしまう。
「呼詠は、銀司さんが怖くないのか?」
本人のいる場所で聞くべきではないと思う。だけど、聞かずにはいられなかった。
銀司さんを見ると、どうでも良さそうに欠伸をしていた。
「えええ!?怖いなんて!!そりゃあ、少しも怖い気持ちが無いわけではないけど、不知火先輩は、俺たち西の次期当主になるかも知れない人だよ!?憧れの方が、何倍も強いよぉ~。だから、同じクラスの兄ちゃんが羨ましい!ずるい!友達ずるーい!!若葉もずるーい!!!」
……成る程。
呼詠は、西の派閥だからか……
稜と阿久津は、確か東って言ってたからな。
あの反応を見るに、意外と根深い問題なのかも知れないな……。
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