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ご飯を食べ終わると、ちょうど良いタイミングでウエイターさんが食器を下げにきてくれる。
なんて良い仕事っぷりなんだろう。
「ふぅ~。食べた食べたぁ!食べたら眠くなってきた~~」
呼詠は目を擦りながら、大きな欠伸をしている。
お前は子どもか!!
とツッコミたくなるところをなんとか我慢して泰智先輩を見ると、一緒に目を擦っていた。
似た者兄弟……
「それより、銀司。お前体調悪くて暫く授業休むんじゃなかったのか?」
泰智先輩が、眠そうに口を開く。
ああ……
その話題は……避けていただきたかった……
銀司さんと、パッチリと目が合う。
ねえやめて。
なんでこのタイミングで怪しく笑うの?
しかもそんな表情も似合ってるとかどんだけ男前なの?
イケメン滅びろよ
「ああ。そういえば薬盛られて死にかけてたんだよな。まあ、見ての通り元気になったよ。誰かのおかげでな」
ニヤリ、と銀司さんが口角を上げると、何故か呼詠と泰智先輩が同時にこっちを向く。
「「……」」
沈黙が痛いよ。
なんでそんなに俺を凝視する!?
なんも言ってないよね!?
「……西の次期当主さんがどんな妖怪かなんて、重々承知しているさ」
泰智先輩が遠い目をしながら、そう呟いた。
呼詠もその真似をして、明後日の方向を向いている。
「な、お、俺は何もしてないですよ!!」
慌ててそう言うと、隣で銀司さんがクックッと笑っている。
絶対楽しんでるじゃん!!焦ってる俺のこと見て楽しんでるじゃん!!!
絶対許さねえこのエロ狐!!!
「クゥーン……」
「このタイミングで鳴くなよ呼詠!!!」
「ハッ……!!ごめんね若葉ちん、つい!!」
「なんの"つい"だよ!!!」
「プッ、ハハ……!!若葉くん、君、面白いね。銀司もさぞ揶揄う(カラカウ)のが楽しくて仕方がないんだろうね」
「ちょ!?泰智先輩まで……!!」
「ああ、楽しいぞ。若葉は俺の嫁だ」
「ハハッ!嫁かぁ。いいね。東の次期当主が、西の次期当主候補に嫁入りか。歴史が荒れそうな気配だ」
「嫁入りしませんからね!?」
俺が声を上げると、3人は楽しそうに笑い出した。
凄い微笑ましい光景かも知れないけど、そんなこと言われてる俺の身にもなってね!?
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