あぶない男

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右京さんと少し話している間に、校舎に辿り着いた。 目を疑う程大きくて立派な校舎に、驚きを通り越して呆れてしまう。 「...ん。妖怪が通える高校っちもんは、この日本には3校しかねぇでな。日本中の妖怪が集まってくるで、嫌でも大きな校舎になるんだ」 「...3校しか、ないのか?」 「...そうだでな。ここは男子校だが、少し離れたところには妖怪の女子のみが通う、女子校も存在してるでの。もう1箇所は、北海道に共学の妖怪高校もあるど」 「人間と同じ学校に通ってる奴はいないのか?」 「ん...。物好きな奴は人間の高校へ行く奴もいるでの。だが、殆どは妖怪の為の場所へ通う」 もしかしたら、俺の通ってた高校にも居たのかな、物好きな奴。 今更だけど、前の学校が恋しくなる。 「...ほれ、ついたど。今は授業中だで、場所の案内だけだ。校長室にも顔を出さなきゃいけねぇでの。授業は明日からで大丈夫だで」 そう言って右京さんは、2年壱組と書かれた教室を通り過ぎていく。ガヤガヤと教室から聞こえてくる声は人間と変わらず、安堵のため息を漏らした。 「...若葉は、東の十朱の次期当主っち聞いとるでの。生徒の中でそれを知ってるのは、俺と生徒会長と、風紀委員長だけだでな。明日は大変かも知れないが、頑張るんだど」 「...はい」 「...まぁ、何かあったら俺を呼ぶといいでの。この学園には、人間界の電波を妨害する術がかけられているでな。携帯電話は使えない。その代わりに、この学園内でだけ通じる【Main(まいん)】と言う電子端末が、生徒全員に配られてるんだ。」 「...Main?」 「Mainには、所有者である生徒の簡単な情報が登録されている。連絡帳に他の生徒のMain情報が登録されると、その生徒と端末で連絡を取り合うことができるでの。携帯電話でいう、メール機能と通話機能だ。使い方はすぐに慣れるでの。」 「...す、げえ」 伊達にお金持ち学園じゃないって事なのか、妖怪界でも科学は進歩しているみたいだ。 「...ん。若葉のMainは、校長先生が持ってるでの。後で連絡先さ交換するで。俺が若葉の連絡帳第1号っち、気分がいいでの」 嬉しそうに笑う右京さんに、少しの間見惚れてしまう。 整った厳つい顔。優しそうな雰囲気。 ギャップってこういう事を言うんだな
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