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「嘘…でしょ…」
私は春香から告げられた信じられない事実を受け入れられず、ただそう呟いた。
「え、知らなかったの?」
私の反応の方が信じられないとでも言うように、彼女は目を丸くしている。
「…付き合ってたんだよね?」
訊かれて、私は頷くしかできなかった。
そう。私は彼と付き合っていた。
(春香の言葉が事実であれば)奥の座敷で盛り上がっているかつてのクラスメイトたちの中で、一番目立っているあの人と。
高校二年生のときに知り合って、いろいろあって好きになって、だけど告白もできないまま卒業して、大学三年生のときにアルバイト先で再会した彼と、私は三年前まで付き合っていた。
別れた理由は、社会人になったらお互い忙しくて、なかなか会えなくなったから。
漫画か、ドラマみたいによくある関係。
だから、この同窓会での再会も、よくあるパターンを迎えるんだと思っていた。
また付き合い始めるとか、付き合いはしないけど友情が芽生えるとか、相手にパートナーがいることを知るとか、相手が結婚したことを知るとか。
それが、まさか、こんな…こんなパターンって…
「嘘でしょ…」
春香が慰めるよう背中を叩いてくれたのをきっかけに、私はとにかくひたすらお酒を飲んだ。
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