第三章

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大罪の面々のお蔭だとしても、解放後間もないダンジョンにしては中々にキツイ構造ではなかろうか? 地形的に侵入者が不利になる構造。精神的に負担を強いてくる構造。 これだけで、冒険者として中級者位までなら善戦出来るだろう。しかも時々ではあるが大罪が出没する。まだダンジョンの存在はバレてはいないが、バレても生存する事は出来る筈だ。 コンコン 「入って良いぞー。」 「失礼します。そろそろご主人様の鍛練の時間ですが、どう致しましょうか?」 考え事をしていると、まるでメイドのように入ってくる。我がダンジョンの心臓、ダンジョンコアのリスタ。俺に加護を与えてくれた書の神が、わざわざ俺のためにダンジョンに図書室と書斎を作ってくれた。 書斎は俺の執務室として使い、図書室はダンジョン所属の魔物達も利用できる、公共施設となっている。 …………はっきり言って、真理の書とかの恐ろしい書物があっても可笑しくはなかったが、一応無いようだ。そこにある魔物達の聖典ことマンガを読んだようで、メイドに憧れた。そして望んでメイドになった。想定外だったのは、メイドがリスタに嵌まりすぎたところだろう。完璧過ぎて文句の言い様が無い。ちなみに最近の目標は、暗殺術を磨き、俺の刃となる事らしい。…………一体何のメイドのマンガを読んだのやら。 「分かった。すぐに準備する。用意しておいてくれ。」 「畏まりました。」 俺の返答に優雅なお辞儀をしてみせ、本当にメイドが似合っているなぁ、と思ってしまう。。 そんなここ最近の思いを胸に、先程まで書いていた日記を閉じる。まぁ、日記って言っても、これからの事を考えながら思考を纏めるために書いてる些末な出来事の羅列だ。 「うーん。今日は長柄の武器でも使うかなー。」 「それでしたら、入門編で槍、中級編で斧槍、上級編に大鎌がございますが?」 「………流石です。」 俺の何の気なしに言った言葉に素早く反応し、ぴったりな武器を持ってくる。完璧を越えた完璧さに脱帽です。 そんなくだらない雑念を抱えつつ、本(スライムでも出来る簡単長柄武器!)にあった型通りにただ淡々と型をこなす。 「(最近、なんか動きやすいんだよなあ)」 転生してから、妙に動きの良くなった身体に疑問を覚えつつ……。
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