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ふいに私の上半身ごと
膝を持ち上げた桃さまは、
そのまま真上から
口付けてくる。
ことの前より
いくらか軽めのキスが、
私の唇を
つるつると甘やかした。
それが心地よくて、
口を開ける。
おねだりだと
わかってくれた彼は、
やわらかな舌で
私の口腔をちゅるちゅると
あやした。
まだ微熱を残した
心と身体が、
ふわふわと弛緩する。
「……ん、はあ」
「杏さん……」
小さく音を立てて
離れた唇は、
互いの体温への未練を
いやというほど残していた。
それでもこうして
キスの途中で
見つめ合うという
間が欲しくなるのは、
何故なんだろう。
私の髪の中でさまよう
桃さまの指先が、
するすると首をたどってきた。
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