一回表 …西条編

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剣道一筋だった西条が野球を始めたのは飯島が居たからである。 元々は私立の進学校に入学した西条が、エブリスタ学園に編入して来たのは一年の夏だった。 隣の席の人相の悪い男。 その男が飯島久介だった。 「お前、何で転校してきた? 前の学校で問題でも起こしたのか?」 射るような視線で淡々と喋る飯島に 「前の高校には剣道部が無かった」 西条が答えると、飯島がニヤリと笑みを浮かべた。 「剣道やりたくてここに来たのか?」 「ああ……」 「だったら野球やろうぜ!」 「………はあ!?」 思わず固まった。 剣道をやりに来た俺に、何故、野球なのだ? そもそも『だったら野球やろうぜ!』この、だったらが、どこから出てきた単語なのか、全く理解出来なかった。
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