27人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
剣道一筋だった西条が野球を始めたのは飯島が居たからである。
元々は私立の進学校に入学した西条が、エブリスタ学園に編入して来たのは一年の夏だった。
隣の席の人相の悪い男。
その男が飯島久介だった。
「お前、何で転校してきた? 前の学校で問題でも起こしたのか?」
射るような視線で淡々と喋る飯島に
「前の高校には剣道部が無かった」
西条が答えると、飯島がニヤリと笑みを浮かべた。
「剣道やりたくてここに来たのか?」
「ああ……」
「だったら野球やろうぜ!」
「………はあ!?」
思わず固まった。
剣道をやりに来た俺に、何故、野球なのだ?
そもそも『だったら野球やろうぜ!』この、だったらが、どこから出てきた単語なのか、全く理解出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!