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母が倒れたという連絡がきたのは、学校で体育の授業中だった。
僕はジャージのまま、バックに制服を突っ込んで、教室を飛び出した。
校門には、母の親友の栄村(サカエムラ)のおじさんが迎えに来ていた。
「麗(レイ)、早く乗りなさい。」
硬い表情のまま、黒い立派な車の後部座席のドアを開けて、隣に座って冷静な声で母の状態を話すおじさん。
栄村のおじさんは、亡くなった父の親友で、1人で僕を育てている母を、ずっと気にかけてくれていた。
一時期、おじさんが、本当は僕の父親なんじゃ?と思うくらい。
実際には、そんなことはありえない。
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