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「やっぱりそこを宣伝しないと駄目か。科学部のように専門的なことに興味のある人の利用が増えれば、貸出利用率も上がるんだよ」
悠磨はここからは見えない自習スペースだけが賑わっている状況に悩んでいたのだ。改善策はやはり宣伝不足にあると理解する。
ここの図書室は無駄に広いというのに超がつくほどの真面目な奴しかやって来ない穴場スポットなのだ。後は優我のような本の虫が利用してくれるくらいだった。
「それで、実際はどういうことが起こっているんだ?」
今はどこにも本が落ちていないのを確認して亜塔が質問する。変人アイデンティティーを声高らかに主張するだけあって、七不思議解明には積極的だった。
「いつ起こるかは解らないんですけど、本が勝手に落ちているんですよ。片付けてもしばらくしたら落ちていたりと、色々な時間に起きています。それもこの理系の列だけです」
悠磨は科学部が点在する本棚を見渡した。
「ふうん。ここの本が落下するのか。たしかに目に見えて棚が傾いているわけでもないのに不思議だな」
桜太が同じように本棚を見渡したところで、他の科学部員も合流した。しかも本は戻して来るという、七不思議解明への熱意も見せている。
「ん?」
目で確認した桜太は気づいた。戻ってきていない奴が一人いる。物理系の棚に視線を向けると、いつも遅刻する優我がここでも遅刻しているのだ。しかも本を戻そうとしてもがいている最中だった。
「何をやってんだよ」
仕方ないなと迅と楓翔が駆け寄った。
「いや、さっきはここに入っていたっていうのに戻らないんだよ」
優我は必死に隙間を探して指を入れようとするのだが、どこもきっちり詰まっていて無理だった。
「本当に入っていたのか?」
あまりにぎゅうぎゅうな棚を見て迅が呆れる。
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