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「銃を下げて」
「しかし室長!」
まあ、彼らが警戒するのもわかる。それでも今はこの子たちの警戒を解くことの方が重要だ。
「室長命令だ。責任は僕が取る。それに――発砲許可は誰が出した?」
言い淀んだ彼らに代わり、「私です、室長」と答え一歩こちらに踏み出したのはグレーの長めの髪に金色の瞳を持つ男。白衣の袖から見える右腕、さらに右足はどちらも鉄の義手義足だった。
「……芦屋」
「ここまで可愛らしいお嬢さんやお坊ちゃん方とは思わなかったので。ほら、君たち銃を下ろしなさい」
その言葉と同時に銃口がすっと下される。僕の言葉ではなく彼の言葉で従ったというのが何となく腹立たしい。
「室長、もう少し自分の立場を考えて行動してください」
「その言葉、そっくり君にお返ししたいけどね」
彼は僕の言葉をスルーして四人に視線を向け、「いきなりの無礼をお許しください。この基地を守るための行動と思っていただければと思います」と礼をする。
「あ……はい」
彼らも流されるがままにその行動を許してしまっているが、もう少し怒ってもいいのではないか。それともそれができないほどに彼らがいた世界と僕たちの世界はかけ離れているのだろうか。
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