一話

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5 あなたが孤独の痛みで悲鳴を上げている時、神もあなたを抱き寄せられぬ苦悩に苦しみもだえていた。(聖なる奇蹟P333) 次の日、ツイッターを見て一つの確信を得たアンナは決断する。 ルカを自室に呼び出し、巡礼の続行を提案したのだ。 「なりません!大教皇様の決定もありますし、感染症の影響が……」 「ルカさん……これ見て」 とアンナはスマホのツイッターを見せる。 夥しい数のリツイートがそこにはあった。 英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語その他の言語で内容は大体一緒だった。 内容は病気が快癒に向かっているようだった。 ルカは呆然とし、画面を眺める。 新聞や、教国のネットワークを有してもまだウィルスの原因や有効な治療もない。 病人が見つかり次第専門施設に隔離するしか方法がない状況で、異様な光景であった。 スマホから目を離し、ルカの手を見てぎょっとする。 聖痕が赤く痣となって現れていた。 「ツイート見た?私が昨日、神様に祈ったらね、ツイートした人達の病気を治してくれたんだ」 ルカは信じる他なかった。 ルカはルロイ神父の話しを思い返す。 彼女のああいった真似の真意がわかる。 ルカはアンナにちょっと電話をすると言い残し、アンナの部屋から出るとすぐさまスマホを取り出した。 かけた先はパリだった。 そして、パリ支部の神父からなんとも不可思議な奇跡の知らせを頂いたのだった。
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