一話

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その後も、フランスのパリの高級子供服専門店「mon ami.」の店内すべての服を買い占めた後、貧しい子供達に与えたり(彼女はパリ全域でファッションショーがしたかったようだ)、ドイツの名産品グミ「maribo-」の店舗を買い占め、包装済みの商品をブレーメン市内にばらまいた。  あまりにばらまきすぎたため、しばらくブレーメン市内でグミを買わなくなり、価格が下がってしまう事態になった。 (彼女が言うには、仕事がない動物に食を与えたいとの話だった。無論、動物には別口で食べ物を与え、グミは浮浪者・貧困に喘ぐ失業者へ優先して渡された)  その間、ヨセフ枢機卿から妨害がくるだろうと覚悟をきめていたが、拍子抜けするくらいなんの連絡も苦情も一向にルカの耳には入らなかった。  嵐のまえぶれなのか。 それか、万が一でもアンナの良さがわかったからなのだろうか。  アンナはわがままだけではない。 巡礼以外でも暫定福者の仕事に励んでいた。 暫定福者になる前は日曜以外さぼり気味だった礼拝も毎日行っている。 ルカの指導があったため、それだけは欠かさず職務を全うしていた。
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