1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「好きです・・・
つ、付き合ってください・・・!」
「え・・・?」
その告白は、あまりに唐突だった。
IH予選前の5月末、俺は学年一モテている女子から告白された。
真夏のような太陽が差し込む放課後、体育館での出来事。
でも、その頃は正直、恋愛なんてどうでも良かった。
「すいません、俺、他に好きな子がいるので」
自分でも驚くくらい、嘘の言葉がスラスラと流れるように口から出てきた。
今考えてみれば、冷たい断り方だったと思う。
でも、その頃の俺にとっては、バレーが何よりも大事だった。
学校なんて、バレーがしたいが為に行っているようなものだ。
それから2ヶ月程たった頃だろうか。
スパイク練習中に、今まで感じたことのないような激痛が、右膝に走った。
たまらずその場に座り込み、皆が駆け寄ってきたのを覚えている。
マッサージやアイシングをしてもらっても痛みは治まらず、俺は救急車で搬送された。
それからの記憶は、思い出せない。
思い出すのを、自分自身が拒んでいるせいかもしれないけれど。
ただ、記憶の証拠は残っている。
ーーーーー二度と飛べなくなった、右膝が。
最初のコメントを投稿しよう!