始発駅

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 駅構内へとつづくのであろう階段と、等間隔に置かれた無機質なベンチだけ。  誰も居ない駅のホーム、誰も居ない車内、そして、何のアナウンスもない。  余程のローカル駅でもない限り、普通は何かしらのアナウンスがあってもいいんじゃないだろうか?  ホームの数を見る限り、駅はかなり大きなもののようだった。  大きな駅だからこそ、余計にこの静けさが際立ち、そしてその静けさが異様な物に感じられる。  寝てる間に何かが起こったのだろうか?  それにしたって、広告を取り払うなんて結構な作業だ。  その間、全く気付かずに寝ている……なんてことは考えられない。  そもそもそんな中で寝ていたら、普通は起こされて電車の外に叩き出されるはずだ。  このまま電車の中で、電車が動き出すのを待った方がいいのか、駅のホームに出て誰かを探してここがどこの駅なのか聞いた方がいいのか、迷った。  落ち着かなくてキョロキョロと辺りを見回し始めた時、不意にホームにアナウンスが響き渡った。 『10番線、間もなく電車が発車します。お乗り遅れのないよう、ご注意下さい』  電車が出るのだと思ってホッとした。  車内アナウンスが終了した直後、誰も居ないと思っていたホームに人が居るのを発見した。  相手も僕に気付いた。  同じ位の年頃の女の子だった。  彼女はこちらに気付いた途端、表情を一変させ、物凄い勢いでこちらに走ってきた。 「ねえ君、この電車に乗ってきたの!?」 「え……、そうだけど」  勢いに押されて私はポソリと小さな声で答える。  すると、ホームからジリジリジリジリジリジリジリ!と物凄い音がし始めた。
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